超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 13歳 女性


 中学生の女の子です。
 朝起きると軽度の腹痛を自覚したそうですが、特になにもせず我慢していたそうです。
 痛みは徐々に強くなり、昼食を軽く食べたあと軽い吐気を感じたそうです。

 昼過ぎ、学校を早退し自宅で経過観察をしていたそうですが、腹痛が軽快せずに夜間外来を受診された
 患者様です。



 虫垂は比較的容易に同定できました。


 虫垂は盲腸から連続して骨盤腔の方向へ伸びており、層構造も明瞭に観察されています。
 中心部に高エコーで観察される連続した線状陰影を認めており、虫垂内腔と考えられます。
 その周囲の低エコー層が粘膜下層、さらにその周囲の高エコー層が筋層、その周囲の低エコー層が漿膜と
 考えらます。


 虫垂径は最大で6.8mm、正常虫垂よりはやや太く観察されます。
 周囲の脂肪層に着目してみると、虫垂先端部周辺では淡くエコーレベルが上昇しているように観察されるものの
 全体的に明らかな炎症所見は観察されないと判断しました。


 はっきりとした腸間膜リンパ節の腫大や、虫垂以外の腸管壁の肥厚、腹水の貯瘤といった
 異常所見も観察されなかったので、検査のレポートには『急性虫垂炎(カタル性)疑い』としました。




 超音波検査後、夜まで経過を見ていたそうですが、時間の経過とともに腹痛は増強する状況が続き
 夜間に虫垂炎疑いにて手術が行われました。


 術後の病理結果は急性虫垂炎でしたが、その分類は蜂窩織炎性となっていました。
 炎症細胞の浸潤が病理で確認できたようですが、超音波検査ではその所見が描出できなかった症例です。