超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 9歳 男性


 小学生の男の子です。
 平日の夜、就寝する前から心窩部痛を訴えていたがそのまま放置していたが
 翌朝、心窩部痛から腹部全体の痛みを訴えるようになっており、学校をやすんで病院にやってきた男の子です。


 血液検査では、白血球数の増加、CRPの軽度上昇があることがわかり
 急性虫垂炎疑いで腹部超音波検査が施行されました。





 回盲部周辺にプローブをあてると、腫大した腸間膜リンパ節が複数認められました。
 大きさは最大で1.5cmで、この周辺に炎症があることを示唆しています。


 また、腸間膜リンパ節の腫大は回盲部周辺に特に多く観察されていることから
 炎症の原因が回盲部の周辺にあることが予想されました。






上の画像は虫垂を観察した画像です。
径を測っているのが虫垂で、その上には回腸末端、虫垂の下には総腸骨動脈、総腸骨静脈が描出されています。


総腸骨動脈近傍で観察される虫垂の最大径は約6.1mm、正常虫垂とのボーダーラインです。
しかし、それよりも虫垂の先端部を観察すると最大径は約8.5mmに腫大しています。


虫垂の層構造は明瞭に観察されており、虫垂の内腔がやや広がって観察されています。
虫垂径は正常よりも太く観察されているので、内腔に貯留した膿瘍を観察していることが予想されます。


虫垂の壁自体はスムースな走行で観察され、粘膜下層や筋層の壊死を疑う所見や、周囲の膿瘍形成、
腹水の貯留、といった異常所見は観察されていません。


超音波検査では、虫垂径が最大8.5mmであることと、腸間膜リンパ節が回盲部周囲を中心に
腫大していることがわかりました。
以上の所見から、急性虫垂炎(蜂窩織炎性)疑いと報告しました。


超音波検査後、本人の意向もありすぐに手術が行われています。
術後の病理の結果は、蜂窩織炎性の急性虫垂炎でした。