超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 75歳 男性


 数日前から、心窩部~下腹部に違和感を感じていたそうです。
 違和感を感じてから2日後、腹部に徐々に痛みを感じるようになり
 3日経っても腹痛は経過せず、むしろ腹痛が強くなってきたために当院の外来を受診された患者様です。


 痛みは下腹部の広い範囲にわたっており、白血球数の増加、CRPの軽度上昇を伴っており
 下腹部痛精査目的にて超音波検査が施行されました。





 まず、上腹部に腹痛の原因となるものが無いかどうか、走査を行っていますが
 明らかな異常所見は指摘できませんでした。


 次いで、下腹部にプローブをあてると、上のような画像が得られました。


 回盲部周囲にリニアのプローブをあてると、まず壁が肥厚した腸管が目立って観察されました。
 一見して腸管の径は10mmを超えていそうで、はじめは「回腸末端かな?」とも思いましたが
 その腸管の連続性を確認すると、盲端で終わる腸管構造が確認でき、虫垂であると確認できました。


 虫垂壁は粘膜下層、固有筋層、漿膜下脂肪層が確認できる程度に、それぞれの層で肥厚を認め
 虫垂径は最大で約12mmで観察されました。


 明らかな膿瘍や腹水等の液体貯留は確認できないものの、
 虫垂周囲の脂肪組織にはっきりとエコー輝度が上昇している領域が観察されており
 虫垂周囲の脂肪組織に波及した炎症所見と考えられます。


 虫垂径が最大12mmで観察されることと、虫垂周囲に液体貯留や膿瘍形成が観察されないことから
 穿孔はしていない、と判断し、急性壊疽性虫垂炎を疑いました。




 この患者様は、腹部超音波検査を行った後、CT検査も行いましたが、腫大した虫垂以外の異常所見は無く
 急性虫垂炎疑いにて、緊急的に手術が行われました。


 術後病理の結果によると、虫垂の半分以上の領域で蜂窩織炎性虫垂炎の所見を示し
 虫垂の半分より少ない領域で壊疽性の所見を示した虫垂炎だったそうです。
 確定診断は、急性壊疽性虫垂炎となりました。