超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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   腸管壁が著明な肥厚と共にエコーレベルの低下を示す。


   後発部位は回盲部であり、肥厚した腸管の層構造は明瞭に観察されない事が多い。


   深い下掘れ潰瘍(打ち抜き様潰瘍 punched-out ulser) が特徴的で
                  潰瘍が存在すれば、その部分が高エコーに描出できることがある。


   腸間膜リンパ節の腫大を伴う例が多い。






  ベーチェット病( Behcet 病 ) は1937年に、トルコの皮膚科医 Hulusi Behcet によって提唱された疾患であり
  全身のほとんどの臓器 (関節、消化管、血管系、中枢神経系、副睾丸、呼吸器、泌尿器、心臓) に
  急性炎症発作を繰り返す難治性疾患である。



  臨床所見として、症状は発作性に出現し、1~2週の経過で消失するものが多いが、
  再燃を繰り返すケースが多く、その際、激しい発熱を伴うこともある。



  ベーチェット病の臨床症状は出現頻度の高い「主症状」と、
  関節炎を除いた発生頻度の比較的低い「副症状」に分類されている。



  通常、「主症状」が先行し、「副症状」は遅発性で、「主症状」が沈静化してから出現する事もある。



  これらの症状のうち、超音波検査での役目としては 「消化器症状の描出」 があげられる。



  ベーチェット病は検査所見で特異的なものはなく、その分画像診断の意味合いは大きい。
  特に、腸管型、血管型、神経型ベーチェット病は、生命に脅威をもららしうるので警戒するべきである。


症状       出現頻度
主症状
     口腔粘膜アフタ

     皮膚症状

     眼症状

     陰部潰瘍

   98 %

   87 %

   69 %

   73 %
副症状
     関節炎

     副睾丸炎

     消化器症状

     血管系症状

     中枢神経症状

   56 %

   6 %

   15 %

   9 %

   11 %



  ベーチェット病の腸管病変は全消化管に発生する可能性をもつが、
  その中でも、後発部位は回盲部末端から盲腸にかけてであり、多発性の潰瘍性病変が特徴である。
  腹痛、下血、通過障害を引き起こす事がありこれを 「腸管型ベーチェット病」ともいう。



  腸管型ベーチェット病が存在する場合、その腸管はエコーレベルの低下とともに著明な肥厚を示すことが多い。
  腸管壁の層構造は不明瞭なことが多い。



  腸管型ベーチェット病の特徴でもある多発する下掘れ潰瘍 (打ち抜き様潰瘍 punched-out ulcer) が存在すれば
  高エコー像として認められることがあり、超音波診断上、腸管型ベーチェット病の診断は可能であるが、
  超音波検査での描出は困難な場合が多い。



  超音波所見、および好発部位が類似する疾患として 「クローン病」 があげられるが
  超音波検査だけで鑑別を行うことは難しいケースが多い。




    典型的な腸管型ベーチェット病