超音波検査室 >> 実際の症例 >> 下腹部領域 >> 腸管
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 4歳 女性



 嘔吐、血便を起こし外来を受診された患者様です。
 症状は、それほどひどくなかったらしく、通常の小児科外来を受診された患者様です。


右下腹部の痛みを強く訴えていたのと、年齢が4歳という事から虫垂炎等の回盲部の疾患が疑われ
腸重積症は臨床では強く疑っていなかったようです。






 腹部にプローブを当てると、上のような超音波画像が得られました。



 空腸周辺では、明らかな異常所見は認められませんでしたが、
 回腸周辺にまで下がって走査を進めると、軽度の腸管壁の肥厚と腸管内の液体貯留が観察され、
 その先の腸管周囲に異常所見があることが疑われました。



 そこで、更に走査を下部消化管のほうへ進め、得られた超音波画像が以下の画像です。





 走査を進めていくと、回盲部周囲で腸管の走行に異常が認められ、そのまま上行結腸に連続しているように
 観察されました。
 そこでゆっくりと回盲部を探したのですが、はっきりとした回盲部は描出できず、
 プローブをいろいろな角度にして見直していると、上段の2枚のような典型的な target sign が得られました。



 その target sign の部分にドップラーをあてて観察すると、比較的容易に血流信号が得られたので
 虚血には陥っていない、と予想されました。



 その target sign の部分でプローブを90°回転させ、上行結腸が回腸内に入り込んでいる画像を
 撮影しようと思ったのですが、思ったよりも重積範囲が広く綺麗に描出できませんでした。



 レポートには、回腸~上行結腸、もしくは肝湾曲部にまで達する腸重積症と記載しました。



 この症例は、その日のうちに手術となり整復されています。




 教科書などでも、3歳以上になると腸重積症を引き起こす可能性が少なくなると、読んだことがあったので
 4歳というだけで、私の頭の中から腸重積症は抜けていました。



 綺麗に target sign が観察されたので腸重積症と鑑別するのは難しくありませんでしたが、
 3歳以上で腸重積は起こらない、と思い込んでいたことを反省した症例です。