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 57歳 女性

                



 依頼内容は「右乳房に腫瘤触知、精査目的」と書いてあり、患者様に話を聞くと
 腫瘤が触れると言う事なので実際に触らせてもらうと、類円形の腫瘤が触れました。



 早速、プローブをあててみると、上のような画像が得られました。



 正直言って、悪い腫瘤のような感じは受けましたが、一体この腫瘤は何であるのか?
 全くもって予想が付きませんでした。



 出てきた腫瘤は45×25mm程で境界明瞭、内部エコーは不均一、血流信号も認められました。



 いろいろな腫瘤が頭の中に浮かんできました。
 線維腺腫、葉状腫瘍、嚢胞内乳頭腫、DCIS、充実腺管癌、粘液癌、髄様癌・・・・・・・・・



 いろいろとあてはめて考えてはみるものの、いずれもあてはまりません。
 「わかんねぇ~!!」
 と開き直り、とりあえず検査を進めることにしました。



 乳腺内に他の異常は認められず、乳腺所属リンパ節を観察したら下のような画像が得られました。



 



 「なんじゃ、こりゃ~!!」と思った次の瞬間、私の中に新しいストーリーが生まれました。



 リンパ節に多数の腫大したリンパ節が認められ、いずれも形状は類円形か不整形を示し、
 血流も豊富で、エコーレベルは明らかに低く嚢胞と間違えそうなくらい。
 しかも、患者様にことわってから腫瘤を圧迫してみると、すこし腫瘤の形状が変化します。



 どう考えても、これらが乳癌からの転移とは考えにくい。
 このリンパ節の状況が典型的な疾患が一つだけ思い浮かびました。



 「悪性リンパ腫」です。



 そこまでは良いとして、では乳腺内の腫瘤は一体何なのでしょう?
 「悪性リンパ腫」で考えてみると、意外と簡単に答えは見つかりました。(あくまで、私の推測ですが)



 乳腺内の腫瘤は「乳腺内リンパ節」ではないか、と考えました。
 そう考えてもう一度乳腺内の腫瘤を観察してみると、形状がリンパ節に見えてきます。



 レポートには「悪性リンパ腫」と「乳腺内リンパ節」の腫大と書きました。
 最後までわからなかったのは、乳腺内リンパ節が異常な血流を持っているので
 正常ではないことは予想できましたが、そのリンパ節は悪性リンパ腫で腫大しているのか
 それとも、悪性リンパ腫からの転移性リンパ節なのか、という問題でした。



 レポートに「リンパ節の腫大」と書きました。(ずるい書き方ですよね)



 その翌週に行われたCTの画像です。





 その後、乳腺内腫瘤に対して行われた病理診断では「転移性のリンパ節の腫大」とありました。