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 42歳 女性






  近隣の病院で、検診目的で乳腺の超音波を施行した所、左乳房に腫瘤を発見され
  当院を紹介された患者様です。



  左A領域12時方向に低エコーの領域が認められます。
  大きさは 10×9×6.5mm程です。 境界は非常に不明瞭で、形状も不整形を示しています。
  内部エコーは低エコーを示し、後方エコーは不変です。
  低エコー内には拍動性の血流信号を多く観察することができました。



  始めの印象では、「乳腺症の可能性もあるな」と考えていましたが、
  血流信号が豊富に認められることから、悪性疾患ではないかと考え始めました。



  腫瘤は非常に境界が不明瞭で、乳管内浸潤を思わせる突起のような形状が複数認められました。
  腫瘤内部に明らかな石灰化は認められませんでしたが、後方エコーも変化が認められないので
  「乳頭腺管癌ではないかな」と考えていました。





  私の中で腫瘤は乳頭腺管癌でほぼ確定だったのに、リンパ節をチェックした上のような画像が得られました。



  傍胸骨リンパ節に異常は認められませんでしたが、腋窩リンパ節には レベル Ⅰ Ⅱ Ⅲ の全てに
  リンパ節の主題が認められました。
  しかも、いずれもエコーレベルの低下やリンパ節門の消失が認められ、転移性のリンパ節腫大と考えました。



  ここでまた腫瘤の正体が霧に隠れてしまいました。
  乳頭腺管癌は、もともと乳管内進展を基本とした癌で悪性度は低く、リンパ節転移の頻度は高くないはずです。
  しかも、この症例の乳房内の腫瘤は10×9×6.5mm程と決して大きいとはいえません。



  それなのに何故こんなにリンパ節へ転移しているのか?



  結局、私は答えを出す事ができず、レポートには「浸潤癌」と書きました。
  ( 答えが出たとしても、自信がなくて浸潤癌としか書かない場合も多いですが・・・苦笑 )



  術後の病理診断に「浸潤性小葉癌」という文字を見つけたときに、自分で作っているこのページの
  浸潤性小葉癌の特徴を書いた文章を思い出しました。



  自分で調べて、「浸潤性小葉癌は時に乳頭腺管癌との鑑別が難しい」と書いていました。
  しかし、実際に検査していた時の私の頭の中には「浸潤性小葉癌」はありませんでした。