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扁平不整形低エコー型DCIS


 症例 1    58歳 女性


  会社検診にてマンモグラフィーを受けたところ、異常な石灰化の集族像が認められ
 精査目的にて乳腺超音波検査を受けられた患者様です。




  左12時方向に約22×12×20mmの低エコー領域を認めます。
 境界は不明瞭、辺縁は不整、内部は不均一に描出されています。
 腫瘤内部には微細石灰化と思われる点状のエコーが複数認められていますが、明らかな高エコーで描出されず
 一見、微細石灰化に見えないかもしれません。


 





 腫瘤内には血流は多くないものの、
拍動性の血流信号が認められています。











超音波画像からは良性疾患は考えにくく、悪性を疑う所見である、と考えました。
考えられる組織型としては、扁平不整形低エコー型DCISの他にも、乳頭腺管癌、浸潤性小葉癌が
鑑別にあがるのではないでしょうか。


手術の結果、この腫瘍は非浸潤性乳管癌でした。






 症例 2    43歳 女性


  会社検診にてマンモグラフィーを受けたところ、異常な石灰化の集族像が認められ
 精査目的にて乳腺超音波検査を受けられた患者様です。




 右10時方向に低エコー領域と、その中に集族する点状高エコーが観察されています。
 低エコー領域は非常に淡く、簡単に検査をしていると見逃す可能性も充分にあるくらい目立ちません。
 実際に検査している時は、乳腺の硬さが正常よりもやや硬い部分があって
 そこに注目して観察すると、上のような画像が得られました。


 低エコー領域は非常に淡く、大きさもどの程度か良くわからないほどです。
 正確には評価は難しいと思いますが、計測した低エコー了領域は約27×12×20mmで
 微細石灰化が多数観察されているのが大きな特徴です。


 ドプラをあてても特別な血流信号は認めず、微細石灰化以外の特徴的な所見は得られませんでした。


 超音波像からは、扁平不整形低エコー型DCISが最も考えやすいと思います。
 鑑別としてあがるのは乳頭腺管癌で良いと思います。



 手術の結果、この腫瘍は乳頭腺管癌でした。





 症例 3    56歳 女性


  左乳房にしこりを自覚して外来を受診された患者様です。




 左8時方向から9時方向に、約33×16×28mmの低エコー領域を認めています。
 腫瘍は境界不明瞭、不整形で、内部は不均一に描出され、微細石灰化は観察されません。
 実際に検査した時には周囲の乳腺よりもやや硬い印象を受けましたが、
 はっきりと腫瘤として識別できるわけではありませんでした。


 レポートには乳腺症による変化を疑う、と記載し、鑑別として扁平不整形低エコー型DCISをあげました。


 この後、細胞診にて悪性細胞が見つかり手術を行った症例です。
 結果は、非浸潤性乳管癌でした。





 症例 4    36歳 女性


 以前からマンモグラフィーにて検診は受けていたそうですが、他院にて初めて超音波検査を行ったところ
 異常陰影を指摘された、ということで精密検査目的で当院外来を受診された患者様です。




 左2時方向に約18×12×15mmの低エコー腫瘤を認めています。
 低エコー領域が存在する部分は、他の正常乳腺の部分よりも
 厚みが増していたので気付くのは難しくありませんでした。


 低エコー領域は不整で、辺縁は不明瞭、内部は不均一で、特別な血流信号は認めませんでした。
 内部には微細石灰化が複数観察されています。(なぜ、マンモグラフィーで気付かなかったのでしょうか?)
 検査時、低エコー領域は比較的硬い領域として触れ、扁平不整形低エコー型DCISを最も疑う所見と考えました。


 手術の結果、非浸潤性乳管癌でした。






 扁平低エコー型DCISは比較的見逃しやすい病変の一つだと思います。
 明らかな腫瘍として描出されないことが多く、簡単に、速いスピードで検査をしていると、余計見逃しやすくなります。


 扁平低エコー型DCISは、周囲の正常乳腺のパターンを把握しておいて
 その正常パターンと違うところを探すところから始まります。
 もし、少しでも淡く変化しているところがあれば、そこを丹念に観察して微細石灰化を探すと良いと思います。


 正常乳腺実質の中にある間質組織にも微細石灰化が観察される事がありますが
 DCISの微細石灰化の場合は、正常乳腺の微細石灰化より目立って観察されたり、異常に集族していたりします。
 もし、このような微細石灰化が観察されたら、DCISを強く疑って良いと思います。


 乳腺症による変化も同様の所見で観察される事がありますが、
 集族する微細石灰化は観察されないことがほどんどです。
 また、乳腺症による変化では正常乳腺と比べてほとんど「硬さ」に違いはありませんが
 DCIS の場合はそこだけ硬くなっているので、鑑別に役立つと思います。