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 47歳 女性





  近隣のクリニックで検診目的で乳腺の超音波検査を行ったところ、乳腺内に異常所見を指摘されて
  当院に紹介になった患者様です。



  上の画像を見ていただければ判るように、2つの腫瘤が並ぶように観察されます。
  2つの腫瘤の距離は非常に近く、最初はどこかで連続性を持つのではないかと考えましたが
  はっきりとした連続性を確認する事はできませんでした。





  上の画像で右側に描出されている5×4.5×4mm程の腫瘤です。
  クーパー靭帯の直下に存在し、境界は比較的明瞭ですが、一部で不明瞭、
  内部のエコーレベルは非常に低く、血流信号も一部だけ認められます。





  こちらは上の画像で左側に描出されている4.5×4.5×4.5mm程の腫瘤です。
  乳腺より発生した新生物でしょうが、体表側への浸潤が著明で脂肪組織に明らかに浸潤しています。
  境界は不明瞭で、内部エコーレベルは非常に低く、こちらの腫瘤では血流信号は認められませんでした。



  左右いずれの腫瘤も、比較的似たような所見だと思いませんか? あなたはどう思います?



  私は左右の腫瘤のいずれも同種の浸潤癌であると考えました。
  すなわち、どちらかが親腫瘍でもう片方が娘腫瘍であると考えました。



  親腫瘍、娘腫瘍とは、浸潤癌が発生した際、浸潤や遠隔乳腺内転移などの理由により
  離れた部位に同一の種類の悪性腫瘍が発生した場合、

  その元となった腫瘍を親腫瘍、新しく出現した腫瘍を娘腫瘍といいます。



  通常、親腫瘍か娘腫瘍かは、腫瘤の大きさによってどちらが古い腫瘤であるか判りやすい場合が多いですが
  この症例の場合、どちらもほぼ同じ大きさなので超音波検査上では判別は困難です。



  リンパ節の走査も行いましたが、明らかなリンパ節転移は認められませんでした。
  娘腫瘍は認められますが、腫瘍自体がまだ小さく、比較的早期に見つかった腫瘍だからではないか
  と考えました。



  総合して上の画像は何癌でしょう?
  いろいろ悩みましたが、私が予想した答えは「浸潤性小葉癌」か「硬癌」でした。
  エコーレベルが非常に低いので、気持ちは「硬癌」に傾いていました。



  もちろん結果は「髄様癌」でしたが、腫瘤が小さければ小さい程その特徴をつかむことは難しい、と思いました。
  ( 俺だけですかね? )



  ま、早期の段階で病理までわからなくても、浸潤癌が見つかれば、それで超音波検査の意義は充分
  果たされた事にはなりますが・・・・。