超音波検査室 >> 実際の症例 >> 乳腺領域 >> 乳腺
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 36歳 女性


 乳房内にしこりを自己発見し、当院の外来を受診された患者様です。






  腫瘤は19×13×16mm程の大きさで、境界は明瞭、形状は類円形で描出されます。
  腫瘤の辺縁は整で明らかな凹凸は認めません。
  内部のエコーレベルは皮下脂肪組織よりもやや低いエコーレベルで描出され、
  後方エコーは明らかな増強を示します。
  腫瘤内に特徴的な血流信号は認めていません。



  この腫瘤を見て線維腺腫は必ず鑑別にあがると思いますが、線維腺腫としては少し気がかりな点がいくつかあります。
  まず、後方エコーの増強の程度が強いこと。線維腺腫でも後方エコーの増強はみられますが、
  ここまではっきりと後方エコーが増強すると、少し変なような気もします。



  もう一点は、右上画像のように一部で腫瘤内部に微細石灰化を疑う点状高エコーが観察されること。
  しかし、観察される点状高エコーの数は少なく、集族もしていないのでこれだけで悪性を疑うことはできません。



  そして、一番気がかりな点は縦横比が高いこと。
  D/W ratio = 0.68 と比較的高い腫瘤として描出されているため、
  縦横比が低い線維腺腫とは違った印象を受けます。



  これらの評価を行いましたが、やはり線維腺腫は鑑別に入ります。
  この腫瘤が線維腺腫でない、とするなら確実に粘液癌も鑑別にはいると思いますが・・・・。



  結局、検査後の報告書には線維腺腫疑い(粘液癌が鑑別にあがる)と素直に記入しました。



  もちろん、この症例に対しても手術が行われ、粘液癌だったわけですが
  今、振り返ってみても非常に線維腺腫に類似した超音波所見だと思います。
  ただし、この所見を見て明らかな線維腺腫とは言い難い所見に気付いていたことも確かです。



  この超音波画像を見て線維腺腫、粘液癌の鑑別を確実に行える人はいないでしょう。
  しかし、この超音波画像を見て何も疑わず線維腺腫だけを考えるようでは
  この粘液癌は見逃されてしまうということになります。