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 26歳 女性

                



 依頼表には「左乳房に腫瘤触知、精査目的」と書いてあり、年齢をみると若干「26歳」。



 プローブを当てる前から、私は「どうせ線維腺腫か嚢胞だろう」と根拠の無い予想を立てていました。



 しかし、プローブをあててみてビックリ!
 どこからどう見ても、悪性の腫瘤としか見えないような腫瘤性病変が現れたのです。



 腫瘤は、境界は明瞭ですが辺縁は不整、内部エコーは不均一で石灰化が腫瘤内部に散在的に認められます。
 ドップラーでも腫瘤へ流入する複数の拍動性の血流信号が得られました。
 画像には載っていませんが、大きさは約23×25×13mm 血流RI=0.86、D/W ratio= 0.524 でした。



 超音波画像では、乳管内進展を予想させる乳頭状の突起部があることや石灰化の散在から、
 乳頭腺管癌の典型例ではないかなと考えていました。



 腫瘤性病変の走査を終え、リンパ節の観察をしていると下の画像が得られました。



 



 2回目のサプライズです。



 左の画像では大胸筋と小胸筋の間に腫大したリンパ節が写っています。(いわいる Rotter リンパ節です)
 形状は扁平に近いですが、やや不整な形状を示し、明らかにエコーレベルの低下が見られ
 リンパ節門も確認できませんでした。



 右の画像は小胸筋の末梢側よりも外側なので、腋窩リンパ節のレベルⅠになります。
 ここにも類円形に腫大したエコーレベルの低いリンパ節が認められます。
 このリンパ節もリンパ節門が確認できません。



 いずれもリンパ節の転移による腫大と考えられました。



 レポートには、左C領域の浸潤癌で腋窩リンパ節のレベルⅠ、Ⅱの転移がある、と書きましたが、
 一つ不思議に思っていました。



 「乳頭腺管癌」は浸潤の程度は軽く、転移の確立が低いはずです。
 腫瘤自体も小さくないし、乳頭腺管癌がリンパ節転移を伴っても良いのでしょうが、気になっていました。



 レポートには書きませんでしたが、「乳頭腺管癌」として成長してきた腫瘤性病変は一部で変性を起こし
 「硬癌」になっている部分が存在するのではないかと考えました。
 いわいる「乳頭腺管癌」くずれの「硬癌」です。



 その後に行われたCT画像と、その時の3DCT画像です。





  左C領域に造影される腫瘤性病変が写っています。




  CTでは石灰化の有無は確認できません。









  3DCTでもC領域に大きな腫瘤が確認できて



  腋窩リンパ節の転移が観察されています。
















 2週間後、術後の病理の結果を調べてみると、病理診断は「乳頭腺管癌」となっていましたが、
 乳頭腺管癌の中でも「papillotubular carcinoma = 乳頭管状癌」でした。
 一部で「硬癌」の細胞も存在していたとありました。



 珍しく、私の組織診断が当たった貴重な症例です。
 ( 画像は乳頭腺管癌の典型例ですもんね、当たったからと言って自慢にはなりません・・・)