超音波検査室 >> 実際の症例 >> 乳腺領域 >> 乳腺
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 35歳 女性


  以前より乳腺内に腫瘤を自覚していたが、2~3ヶ月放置、
  徐々に腫瘤が大きくなっていることに気付き当院の外来を受診された患者様です。






 右乳腺 C領域 10時方向に約57×35×56mmの腫瘤を認めます。
 境界は明瞭で、辺縁は平滑、内部はやや不均一で、脂肪と同等かやや低いエコーレベルで描出されています。
 腫瘤内部には、比較的豊富な血流信号が観察でき、腫瘤内部には無エコーで観察される領域も
 認めています。


 この腫瘤に対しての鑑別診断として、線維腺腫、葉状腫瘍、粘液癌、があがる、と考えました。


 線維腺腫として考えてみると
 腫瘤の特徴の多くは線維腺腫としてよく見られる特徴で、年齢も若いので線維腺腫が増大したとしても矛盾はない
 と考えました。
 ただ、腫瘤内部のエコーパターンが不均一で観察されていることが気になりました。


 葉状腫瘍として考えると
 腫瘤の特徴は全て葉状腫瘍の特徴と合致します。左右乳腺内にこの腫瘤以外の病変が観察されず
 多発的な腫瘤ではありませんが、腫瘤の内部には無エコー領域も観察されていて
 2~3ヶ月で急激に大きくなってきたとしても葉状腫瘍の特徴といえます。


 粘液癌として考えると
 画像上の腫瘤の特徴は粘液癌として不思議はないと思います。
 腫瘤のエコーレベルはそれほど低くはなく、不均一に描出され、後方エコーも強く増強しています。
 腫瘤内部に無エコー領域が存在していることも、粘液癌として矛盾しません。
 しかし、ここ数ヶ月で腫瘤がどんどん大きくなっているという特徴は
 粘液癌よりは葉状腫瘍を疑う所見だと考えました。



 これらの理由から
 レポートには葉状腫瘍疑いとして、粘液癌は鑑別診断として記載しました。


 数日後、この腫瘤に対して針生検が行われており病理診断でも葉状腫瘍となっていました。


 良性腫瘍のため、6ヶ月のfollow up となりましたが、6ヶ月後の腫瘤は更に多きなっており
 外観からも腫瘤の存在が確認できるほどになった為、外科的に摘出術が行われました。
 術後の病理診断も葉状腫瘍で変わりなく、摘出時の腫瘤の大きさは最大径で約750mmだったそうです。