超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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   甲状腺の左右非対称性腫大を認めることが多い


   多数の大きさの異なる結節を甲状腺内に認める


   観察される結節内部のエコーレベルは甲状腺実質と同等かやや低く、被膜を有する


   結節はしばしば嚢胞化し、音響陰影を伴う石灰化を認めることもある


   嚢胞化した結節内には点状高エコーを認めることが多い





 腺腫様甲状腺腫の本体は過形成(結節性過形成)であり、良性結節である。
 甲状腺内に過形成性結節が単発病変として認める場合は腺腫様結節とよび、
 複数存在する場合は腺腫様甲状腺腫と呼ぶ。


 甲状腺内に多数の腺腫様結節を認めると、腺腫様甲状腺腫と呼ばれる病態になり
 過形成の影響で甲状腺自体はしばしば腫大するが、甲状腺腫大は片側性の場合も、両側性の場合もあり
 結節の大きさや数により、その程度は様々である。


 甲状腺下極に発生した結節では、胸腔内の陰圧と重力により、縦隔内に大きく成長する場合があり
 このようなものと異所性に縦隔内に発生したものを一般に縦隔内甲状腺腫と呼ぶ。


 腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫にみられる結節自体は、
 ほとんどが嚢胞部で占められ、壁の一部に過形成の組織が認められるものから
 充実部がかなりの部分を占めるようなものであったり
 結節内部は正常甲状腺とあまり変わりないが、薄い被膜が存在し結節と認識されたり
 多彩な超音波像を示す。


 結節内の嚢胞部は、甲状腺濾胞内にコロイドが充満して生じる場合と、出血や退行性変化が生じ
 嚢胞化する場合があり、超音波画像上でその鑑別は困難である場合が多い。
 しかし、甲状腺では真性嚢胞はほとんど無いと考えられているため、甲状腺実質内に複数の嚢胞性病変を
 認めた場合は、 ほとんどの例が腺腫様甲状腺腫と考えられる。
 また、結節が多発する場合、嚢胞部と充実部の割合は、結節ごとに違う場合が多い。


 結節内の嚢胞化した部分が少ない場合は、甲状腺の良性腫瘍である濾胞腺腫との鑑別が困難な場合がある。
 腺腫様結節と濾胞腺腫の鑑別は、時に病理でも判定困難な場合があるほどで、
 超音波上で鑑別困難な場合がよくあるが、傾向として以下のような点で鑑別診断を進められる。


腺腫様甲状腺腫と濾胞腺腫との病理組織学的鑑別点

腺腫様甲状腺腫 濾胞腺腫
結節の数 通常、複数個 通常、単発
被膜形成 結節全周が包まれないものが多い 結節全周が包まれる
結節内組織所見 多様、嚢胞形成 均質
周囲甲状腺組織 小結節、大きい濾胞がみられる 正常
周囲組織の圧排、増殖 少ない 圧排、増殖傾向


 腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫と鑑別が必要なものとして嚢胞型の甲状腺乳頭癌があげられる。
 嚢胞型の乳頭癌は乳頭癌の約7%といわれており、嚢胞性病変の内部に充実部があり乳頭癌細胞が存在する。
 充実部は比較的エコーレベルが高く、一見腺腫様結節と類似した所見を示すものもあるが
 多くは充実部の内部に複数の微細石灰化を伴っていたり、嚢胞部分の外側に浸潤所見を認めたりするため
 この所見が鑑別の大きなポイントになる。


 腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫の好発年齢は40~50歳代で、女性が多く男女比は、1 : 3~5 と言われている。
 結節が比較的小さなものでは、結節が多発していても無症状の場合が多く、直径6cmを超えるような結節では
 起動を圧迫したり、圧迫感があったりする。
 腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫の5%程度に甲状腺機能亢進を認める。




    画像所見がそれぞれ違う腺腫様結節 6症例

    経過観察中に結節が縮小した腺腫様結節