超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 52歳 女性


  10年以上前にバセドウ病と確定診断されている患者様です。
 投薬治療を続けていましたが、症状がなくなり、血液データも良くなったため、2~3年薬を飲まなかったそうです。
 半年ごとの Follow up のため、超音波検査が施行されました。







 甲状腺の大きさ

   甲状腺峡部  1.9mm
   甲状腺右葉  幅 16mm  厚さ 15mm  長さ 57mm
   甲状腺左葉  幅 23mm  厚さ 11mm  長さ 51mm


 甲状腺の大きさはやや大きめではありますが、数値だけ見ると正常範囲内でよさそうです。
 甲状腺辺縁はやや凹凸が認められ、甲状腺実質は不均一に観察されます。


 甲状腺実質にドップラーをあててみても、明らかな血流増加は認めません。
 以前からバセドウ病と診断されているため、上甲状腺動脈の血流も測定しましたが
 血流速度は約40cm/secと血流速度の上昇は指摘できません。


 甲状腺実質が不均一に観察され、辺縁に凹凸を伴う所見はバセドウ病の長期経過に伴う変化と判断しましたが
 その他の特徴的な所見は得られず、甲状腺機能は落ち着いている状態と考えました。



 同時に行われた血液検査の結果を見てみると
 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は 1.86μU/mlと正常範囲内、
 遊離トリヨードサイロニン(Free T3)は 2.7pg/mlと正常範囲内、
 遊離サイロキシン(Free T4)は 1.0ng/dlと正常範囲内、
 TSHレセプター抗体は 陽性、でした。


 5年前の血液検査の結果を見てみると
 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は 0.002μU/ml以下と低下、
 遊離トリヨードサイロニン(Free T3)は 11pg/mlと上昇、
 遊離サイロキシン(Free T4)は 3.0ng/dlと上昇、
 TSHレセプター抗体は 陽性、でした。



 5年前の血液検査の結果は典型的なバセドウ病の所見を示していますが、
 今回の血液検査ではTSHレセプター抗体が陽性を示しているものの、その他の数値は正常範囲内です。
 投薬治療によって甲状腺機能が正常化したものと考えられます。


 投薬治療を行っていないバセドウ病でも、甲状腺ホルモンの放出の程度は変化し
 時期によっては甲状腺機能亢進の程度も変化すると考えられます。
 甲状腺の超音波検査を行った時に甲状腺機能亢進が著明であれば、超音波所見も著明な変化を示すでしょうし
 反対に甲状腺機能が落ち着いている状態では、超音波所見も正常に近い所見を示すことが予想されます。