超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 32歳 女性


  以前からの疲労感、体重増加、貧血、うつ(鬱)状態を訴え、当院外来を受診された患者様です。
 採血にて甲状腺機能低下を指摘され、精密検査目的にて超音波検査が施行されました。







 甲状腺の大きさ

   甲状腺峡部  4mm
   甲状腺右葉  幅 22mm  厚さ 18mm  長さ 60mm
   甲状腺左葉  幅 23mm  厚さ 20mm  長さ 56mm


 甲状腺は全体的に腫大して観察され、全体的に丸くなり、辺縁が凸に変化しているように観察されました。
 甲状腺実質は全体的に不均一に観察され、甲状腺辺縁は軽度の凹凸を伴っています。


 ドップラーをあててみると、甲状腺実質内にはドップラー信号がほとんど観察されず
 慢性甲状腺炎を疑う所見と考えました。


 同時に行われた血液検査の結果を見てみると
 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は 5,4μU/mlと上昇、
 遊離トリヨードサイロニン(Free T3)は 2.0pg/mlと低下、
 遊離サイロキシン(Free T4)は 1ng/dlと正常下限で、
 抗TPO抗体は 陽性、抗サイログロブリン抗体も陽性、
 いずれの数値も慢性甲状腺炎病の特徴的な数値を示し、画像所見も相違ないことから
 慢性甲状腺炎と確定診断がついた症例です。



 この症例は、血液検査の結果、超音波検査の結果のいずれも典型的な慢性甲状腺炎の所見を示しています。
 しかし、ここまで典型的に観察される症例は多くはなく、
 血液検査で慢性甲状腺炎が疑われても、超音波検査で異常が指摘できなかったり
 異常所見があったとしても経度のものであったりすることの方が多い印象があります。


 やはり、超音波検査を施行し慢性甲状腺炎が疑われた場合には、血液検査のデータを照会し
 甲状腺機能も慢性甲状腺炎を疑える数値であることを確認するべきではないでしょうか。