超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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   甲状腺内の結節性病変、もしくは甲状腺全体のびまん性病変として描出される


   腫瘍部のエコーレベルは極めて低く、後方エコーは増強することが多い


   腫瘍部には比較的豊富な血流信号を認める






 甲状腺原発の悪性リンパ腫は主にB細胞由来であり
 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)と、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫
 (extranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue type : MALTリンパ腫)
 がほとんどである。


 甲状腺悪性リンパ腫は甲状腺悪性腫瘍の約1~5%を占め、比較的稀な腫瘍であり
 大部分が橋本病を合併していることが知られており、橋本病から悪性リンパ腫が発症するとも考えられている。
 遺伝的に特異なものは無く、高齢女性に多く、自覚症状はほとんど無いが
 橋本病の経過観察中に甲状腺の急激な腫大を示す事が多いため、頚部圧迫感や嚥下困難を訴える場合がある。


 悪性リンパ腫の形態は結節型とびまん型に分類され、
 結節型では甲状腺実質内に明らかな腫瘍が描出され、びまん型では病変が甲状腺全域に及んでいる。


 腫瘍部の特徴的な超音波所見は、腫瘍の内部エコーレベルが極めて低いことと、腫瘍の後方エコーの増強である。
 病変部の境界は明瞭、内部が均一である場合が多く、超音波上嚢胞のように観察されることがあるため
 偽嚢胞様所見(pseudocystic findings)とも呼ばれる。
 腫瘍部にはドップラーにて豊富な血流信号が観察されるため、嚢胞との鑑別は容易である。


 悪性リンパ腫は増殖の過程で分葉形に腫大することがあり、腫瘍内部に正常組織が線状に残る場合があり
 この形態を「切れ込み像」と呼び、悪性リンパ腫に特徴的な所見とされている。


 甲状腺悪性リンパ腫に伴い、頚部リンパ節が著明に腫大する場合がある。
 腫大したリンパ節の形状は多角形や円形で観察され、エコーレベルは低く後方エコーの増強を伴う場合があり、
 ドップラーでは豊富な血流信号が観察される。
 リンパ節門以外からの血流の流入出が観察されれば、悪性リンパ腫に伴うリンパ節の腫大と判断できる。


 超音波上、甲状腺悪性リンパ腫は特徴的な所見を示すことが多く、鑑別は比較的容易と考えられるが
 超音波検査だけでの確定診断は困難で、遺伝子検査や細胞診によって確定診断となる。



    典型的な所見が得られた甲状腺原発悪性リンパ腫

    左葉に限局した甲状腺原発悪性リンパ腫