超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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   境界不明瞭な低エコー領域が散在して観察されることが多い


   甲状腺は軽度の腫大を示す場合が多い


   超音波所見は亜急性甲状腺炎に類似し、画像だけでその鑑別は困難な場合が多い




 無痛性甲状腺炎は慢性甲状腺炎、または寛解中のバセドウ病に発症する甲状腺中毒症で
 急激に自己免疫異常が起こることにより甲状腺濾胞細胞が破壊され、血中に甲状腺ホルモンが多量に放出される
 ことにより発症する。


 多くは慢性甲状腺炎に合併するが、分娩が誘因となる例も多い。
 また、インターフェロン等の薬剤投与者や放射線治療を受けている例にも多くみられ、関与が指摘されている。


 無痛性甲状腺炎は一般的に一過性の経過をたどり、自然寛解する。
 濾胞細胞が破壊され血中に甲状腺ホルモンが多く放出されると、TSHが下がり甲状腺機能低下状態に移行する。
 次いで短期間にTSHの上昇によって回復する例が多く、永続性甲状腺中毒症に移行する例は比較的少ない。
 典型例では無痛性甲状腺炎を発症してから3ヶ月以内に寛解する。


 臨床所見や超音波所見は亜急性甲状腺炎と類似するが、痛みを伴わないという点では大きく異なる。
 また、無痛性甲状腺炎では炎症反応を伴わないことも特徴的である。


 甲状腺濾胞の破壊による血中への甲状腺ホルモンの放出があるため、FT3、FT4、は高値、TSHは低値を示す。
 抗TSH受容体抗体はほとんどの症例で陰性を示す。




 無痛性甲状腺炎の超音波所見は、亜急性甲状腺炎と類似した所見を示す。
 甲状腺は軽度の腫大を示すことが多く、不均一な低エコー領域が散在して観察される。
 亜急性甲状腺炎との相違点は、「痛みが無い」、「クリーピング現象が起こらない」といった点がある。





   日本甲状腺学会による無痛性甲状腺炎診断ガイドライン(日本甲状腺学会第7次案)

 
 A) 臨床所見
     1、甲状腺痛を伴わない甲状腺中毒症
     2、甲状腺中毒症の自然改善(通常3ヶ月以内)

 B) 検査所見
     1、遊離T4高値
     2、TSH低下(0.1μU/ml以下)
     3、抗TSH受容体抗体陰性
     4、放射性ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率低値


  無痛性甲状腺炎
      A)およびB)の全てを有するもの


  無痛性甲状腺炎の疑い
      A)の全てとB)の1~3を有するもの


  除外規定
    甲状腺ホルモンの過剰摂取例を除く


  付記
    1、慢性甲状腺炎(橋本病)や寛解バセドウ病の経過中発症するものである
    2、出産後数ヶ月でしばしば発症する
    3、甲状腺中毒症状は軽度の場合が多い
    4、病初期の甲状腺中毒症が見逃され、その後一過性の甲状腺機能低下症で気付かれることがある
    5、抗TSH受容体抗体陽性例がまれにある



     頚動脈検査を機に発見された無痛性甲状腺炎

     超音波検査所見の乏しい無痛性甲状腺炎