超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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   非被包型乳頭癌と嚢胞型乳頭癌があり、超音波所見の相違を認める


   非被包型乳頭癌では境界不明瞭、辺縁粗雑な低エコー結節として描出される


   内部は不均一で複数の微細石灰化を伴うことが多く、近傍周囲組織への浸潤を認めることがある


   嚢胞型乳頭癌では、嚢胞内部に不均一な充実性領域を認め、
                     内部は不均一で微細石灰化を伴うことが多い



   嚢胞被膜外に浸潤を認めることがある



 甲状腺乳頭癌は甲状腺に認められる悪性腫瘍の中で最も多い腫瘍である。


 乳頭癌の発生頻度はヨード不足地域では低いが、日本のようにヨードを多く摂取している地域では高い傾向があり
 日本での乳頭癌の頻度は甲状腺悪性腫瘍全体の約80%といわれている。 好発年齢は30~60歳代であるが、
 小児、若年者での発症も珍しくない。 女性の発症頻度が男性と比較して2~6倍高いといわれている。


 乳頭癌の発生機序については未知の点が多いが、腫瘍の成長は非常に遅いことが知られている。
 前頚部に腫瘤を触知して発見されることが多く、次いで無症状で検診等によって偶発的に発見される場合が多い。
 腫瘍の発育は遅いが浸潤傾向があるため、発症部位によっては、気管、食道、血管、反回神経、前頸筋などに
 浸潤することがあり、その場合、嗄声、嚥下困難、気道からの出血、などの症状を認める。


 甲状腺乳頭癌はしばしば、肺、骨、脳に遠隔転移する。
 乳頭癌の予後は非常に良好と言われ、10年生存率は約90%であるが、遠隔転移があるものは
 予後が悪い傾向にある。
 しかし、20歳以下の若年者の乳頭癌の場合、遠隔転移があっても予後が非常に良いことが知られている。


 乳頭癌の画像診断としては超音波検査が最も有用であり、典型的な乳頭癌だけほぼ断定できるといわれている。
 非典型例であっても超音波検査で乳頭癌を鑑別にあげることは難しくない症例が多く、
 その場合は超音波ガイド下甲状腺穿刺によって乳頭癌の確定診断が可能になる。


 典型的な乳頭癌の超音波所見は、腫瘤辺縁が不整で粗雑、内部のエコーレベルは甲状腺実質より低く不均一、
 腫瘤内部に微細な石灰化が複数見られる。 また、しばしば周囲組織への浸潤を認めるため
 乳頭癌を疑った場合は、その近傍に存在する組織への浸潤を確認することが重要になる。
 縦横比が1.0に近く、非常に硬い腫瘤であることも診断の一助になる。


 一般的に乳頭癌は非被包型乳頭癌の形態をとるが、稀に腺腫様結節内部に乳頭癌を認めることがあり
 これを嚢胞型乳頭癌と呼ぶ。
 嚢胞型乳頭癌の超音波所見は、嚢胞被膜内部に乳頭癌にあたる充実性領域見られる点が異なるが
 充実性領域の超音波所見は非被包型乳頭癌の超音波所見とかわらない。
 乳頭癌が嚢胞被膜に接している部分では、被膜外への浸潤を認める場合があるため
 これが観察できれば、嚢胞型乳頭癌と断定できる。



     典型的な所見を示した乳頭癌

     小さいが典型的な所見を示した乳頭癌

     周囲組織浸潤、リンパ節転移を伴った乳頭癌