超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 72歳 男性


 数年前に心筋梗塞の既往がある患者様です。
 心筋梗塞は陳旧化している状態ですが、経過観察として心臓のCT検査が施行された際に
 甲状腺に異常陰影が写ったということで、甲状腺の精密検査目的で超音波検査が施行されました。





 甲状腺の大きさ
   甲状腺峡部 2mm
   甲状腺右葉  幅 16mm  厚さ 20mm  長さ 48mm
   甲状腺左葉  幅 18mm  厚さ 19mm  長さ 44mm



 甲状腺実質は均一に描出され、甲状腺自体の腫大や萎縮は認めませんが、
 甲状腺右葉に約8×7×7mmの腫瘤性病変が観察されています。
 境界は不明瞭、辺縁は粗雑で、内部は不均一に描出され、複数の微細石灰化が腫瘤内に観察されます。
 比較的、甲状腺乳頭癌として特徴的で典型的な超音波所見だと思い、乳頭癌を念頭に検査を進めました。


 甲状腺右葉の前頚筋群に接する位置まで腫瘤が観察されていましたが
 詳しく観察すると甲状腺の被膜(甲状腺外側に観察される線状高エコー)は保たれているように観察され
 超音波上、明らかな被膜の途絶を疑う所見は描出できませんでした。


 唾を飲んでもらったり、大きく呼吸してもらったりしながら、甲状腺と前頚筋群の分離を観察したところ
 明瞭ではありませんが分離しているように観察され、周囲組織への浸潤は否定的と考えました。
 頚部リンパ節も観察しましたが、正常の反応性のリンパ節腫大は観察されたものの
 明らかな転移を疑う所見は認めませんでした。


 超音波検査後、この患者様は外来で腫瘤に対する生検を受けました。
 後日、悪性細胞が確認され右葉摘出術が施行され、病理結果により乳頭癌と確定診断がつきました。
 後から見直してみても、非常に典型的な乳頭癌の所見が得られている超音波画像だと思います。