超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 52歳 女性


 近医で触診にて甲状腺腫大を指摘された患者様です。
 血液検査では明らかな甲状腺ホルモンの異常は認めなかったようですが、
 甲状腺内の器質的疾患の有無について精密検査目的にて、頚部超音波検査が施行されました。





 甲状腺の大きさ
   甲状腺峡部 2m
   甲状腺右葉  幅 22mm  厚さ 21mm  長さ 51mm
   甲状腺左葉  幅 20mm  厚さ 20mm  長さ 49mm



 甲状腺自体はやや丸みを帯び、軽度の腫大を伴っているように観察されますが、
 甲状腺実質は均一に描出され、辺縁の形態の明らかな変化も認めず、血流信号も正常に観察されたため
 びまん性甲状腺疾患は否定的であると考えました。
 (当院の血液検査でも、やはり甲状腺ホルモン等に明らかな異常は認めていませんでした)


 甲状腺右葉に約6×5×5mmの石灰化の集族を認めています。
 比較的小さな病変ですが、微細石灰化が複数存在していることと、音響陰影を伴っていることから
 腫瘤に気が付くのは難しくありませんでした。


 石灰化の集族と思われる領域を詳細に観察してみると、その辺縁には不均一な低エコー領域を認め
 その低エコー領域の中に複数の微細石灰化が存在しているように観察されます。
 形状は不整で、境界は不明瞭に観察され、小さな腫瘤性病変ですが
 典型的な乳頭癌の所見を示す病変だと思いました。


 腫瘤の径は小さかったのですが腫瘤の存在している位置が、甲状腺背側の被膜近傍で
 浸潤の可能性をチェックする必要がありました。
 大きく呼吸すると周囲組織と甲状腺の分離が確認できたので、浸潤所見は無しと判断し
 頚部リンパ節に転移を疑う所見が無いことを確認して検査を終了しました。


 この患者様は検査の数日後、腫瘤に対して生検が施行され、悪性細胞を認めたため
 甲状腺右葉摘出術が行われ、乳頭癌の確定診断が付きました。