超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 70歳 男性


 この患者様は、以前から頚部が張ったような感じはあったが放置していたところ
 声がしわがれ声になってきて、頚部の圧迫感も強くなってきたことから近医を受診されました。
 触診にて甲状腺の腫大、甲状腺ホルモンの異常を指摘され、精密検査目的にて当院を紹介受診となりました。





 甲状腺の大きさ
   甲状腺峡部 5m
   甲状腺右葉  幅 22mm  厚さ 21mm  長さ 48mm
   甲状腺左葉  幅 18mm  厚さ 16mm  長さ 49mm



 上の2つの画像はいずれも甲状腺右葉の横断像です。 この2つの画像を見ただけでも
 甲状腺右葉の形状は、非常に不整に観察されるのがわかると思います。
  左上画像⇒ をクリックしてください。 この領域が腫瘤の範囲と思われます。
  右上画像⇒ をクリックしてください。 この領域が腫瘤の範囲と思われます。


 甲状腺右葉は不整に観察されていますが、よく観察すると均一に観察される正常甲状腺と思われる領域と
 不整に観察され腫瘍性病変と思われる領域が区別できるように感じました。
 腫瘤は境界不明瞭な部分もあるため、明らかな腫瘍の範囲は同定できないものの
 ある程度の腫瘍の形は予想できると思います。


 腫瘤性病変と思われる領域は、境界は粗雑で一部不明瞭に観察され、内部は不均一で微細石灰化を
 複数伴い、乳頭癌を疑えます。
 また、甲状腺の前面、前頸筋群と接する部分を観察すると明瞭な凹凸が観察され
 前頸筋群への浸潤を疑うことができます。

  

 上の2つの画像は甲状腺右葉の縦断像です。
 横断像と同じような特徴が描出されている画像で、やはり前頸筋群への浸潤が疑われます。
 症状として「しわがれ声」もあるため、反回神経への浸潤も疑われます。

  左上画像⇒ をクリックしてください。 この領域が腫瘤の範囲と思われます。
  右上画像⇒ をクリックしてください。 この領域が腫瘤の範囲と思われます。


 

 最後に頚部リンパ節を観察してみると、右頚部リンパ節に腫大したリンパ節を認めました。
 形状は扁平に観察されていますが、内部はやや不均一でエコーレベルが低く
 正常なリンパ節門構造が観察されません。
 甲状腺右葉に浸潤性の悪性病変を疑う腫瘍性病変が存在することからも、リンパ節転移を疑いました。


 報告書には、甲状腺右葉から峡部にかけて浸潤性の悪性病変が存在し乳頭癌を疑うこと、
 前頸筋群への浸潤と右頚部リンパ節転移を疑う所見があることを記載しました。


 後日この患者様に対して甲状腺亜全摘出術が施行され、乳頭癌の診断がつきました。
 頚部リンパ節転移、胸鎖乳突筋への浸潤、反回神経への浸潤、気道への浸潤も認めていました。