超音波検査室 >> 実際の症例 >> 頚部領域 >> 甲状腺
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 36歳 女性


 頚部痛を主訴に当院を受診された患者様です。
 数週間前から頚部痛を自覚していたが、放置していたそうです。
 頚部痛は改善するどころか徐々に増強し、外来を受診されました。
 外来の触診で甲状腺の明らかな腫大は認めなかったものの、甲状腺の位置に一致する圧痛を認め
 甲状腺がやや硬く触診されたため、亜急性甲状腺炎疑いで超音波検査が施行されました。






 甲状腺の大きさ

   甲状腺峡部 2mm
   甲状腺右葉  幅 14mm  厚さ 18mm  長さ 52mm
   甲状腺左葉  幅 16mm  厚さ 19mm  長さ 52mm



 甲状腺自体の腫大は認めませんが、甲状腺実質は全体的に不均一に描出されています。
 典型的な地図状の低エコーとはいい難い所見ですが、甲状腺の境界は明瞭で、形態は保たれ、
 腫大を認めない、といった所見から炎症による変化を疑えると思います。


 また、カラードップラでは低エコー領域に一致した血流信号の低下や、甲状腺周囲に一致した圧痛により
 やはり亜急性甲状腺炎を疑うことはそれほど難しくないと思います。



 臨床側でも亜急性甲状腺炎が疑われ、即日治療が開始されました。
 治療開始2ヶ月後に Follow up の超音波検査が行われました。




 Follow up として行われた超音波画像を、1回目の超音波画像と比較してみると、その変化は歴然としています。
2回目に行われた超音波画像内では、甲状腺内がやや不均一に観察されていますが
甲状腺全域はほぼ均一に観察され、甲状腺の大きさ、形態、血流信号の有無、等
いずれの点から見ても正常甲状腺と判断できます。



 亜急性甲状腺炎で炎症が進行している状態では、超音波上、明らかな低エコー領域が甲状腺実質内に
 はっきりと観察されることが多く、亜急性甲状腺炎の経過とともにクリーピング現象がみられ
 改善とともに甲状腺実質内に観察されていた低エコー領域は、嘘のように消失するといわれています。
 今回のこの症例も、そういう点から考えると亜急性甲状腺炎の典型例と考えられます。


 また、亜急性甲状腺炎は治癒後、一定期間をあけた後に再発することがあります。
 甲状腺内にこの症例のような低エコー領域が観察され、その患者様の病歴に亜急性甲状腺炎があれば
 容易に亜急性甲状腺炎を疑えると思います。